編集者も漫画家も
すぐそばに住んでいるので、
コミュニティーの一員になった
安心感があります。

Enewaldさん

フィンランド共和国
出身

Question 1

来日された理由を
うかがえますか?

私が来日を決めた最大の理由は、私の創作活動を支援してくれる編集者や、漫画を描いている同業者たちとの距離を縮めるためでした。遠く離れていても、インターネットを介した漫画づくりが可能ですが、私はおたがいの顔が見える環境で仕事がしたいと思っていました。
実際にアーティストビレッジに来てみたところ、自国のフィンランドにいたときよりもはるかに多くのことを学び、理解することができています。

また、異国に住んで新しい文化を知ることは、とてもエキサイティングなことだと思いますし、そういう特別な経験をすることは、私の人生を豊かにすることだと思ったからです。そのためコアミックスからの招聘を受けることに、迷いはありませんでした。家族にその話をしたら、少し心配されましたが、行く機会をもらえたことをとても喜んでくれました。家族は私をずっと応援してくれています。

それと、私は語学に強い興味があるため、以前から日本語を学びたいと思っていました。ここでは日本語が毎日使われていますし、ネイティブスピーカーと直接やりとりできるので、学習環境としては最適だと考えました。これまで4つの言語を学びましたが、日本語は他の言語と文法が異なる特殊な言語ですし、なにより「部首」が興味深いです。パズルの組み合わせで言葉が生まれる印象を受けます。

Question 2

日本の、
熊本・阿蘇の印象は
いかがですか?

今まで見たことのない景色や自然が広がり、とても美しいところだと思います。フィンランドは平坦な国なので、阿蘇で毎日地平線上に山が見えると、新鮮で幸せな気持ちになります。
私が来日したとき、阿蘇は美しい冬景色でした。春や夏にはどんな風景を眺められるのか楽しみです。ちなみに、冬のフィンランドは阿蘇よりも気温が低いです。

また、阿蘇の人々は穏やかでフレンドリーな印象です。年配の方が近づいてきておしゃべりを始めるたびに、とても楽しい気持ちになります。

Question 3

入居している熊本の
アーティストビレッジ
阿蘇096区は、
漫画を描く環境としては
いかがですか?

住環境、
食事についての
感想も
うかがえますでしょうか?

ここは漫画制作に適した環境が整っていると思います。とても静かな場所にあるので、誰にもじゃまされずに仕事ができます。PC、タブレット、紙、ペン、大量の漫画単行本など、漫画を描くのに必要なものはすべて揃っているので、ここに来れば創作に専念できます。
それと、施設内の住居棟や寮など、編集者や同業の漫画家がみんな近くに住んでいるので、コミュニティーの一員になった気がして、安心感があります。

食事は、フィンランドと食材があまり変わらないため、私には合っています。鍋料理は自国にないので、楽しんで食べています。それと、さまざまな料理を盛り合わせた日本の“お弁当”は、とても興味深いです。

Question 4

ここでの
一日の過ごし方を
教えてください。

朝は8時くらいに起きます。仕事を始める前に、周辺の公園や森を散歩することもあります。始業は10時からですが、仕事の性質上、時間はあまり厳密ではありません。隣の席の人や編集者との距離も近いので、困ったことがあっても相談しやすい環境です。
昼食を挟み、仕事は18時くらいに終わります。夕食後はアーティストビレッジ内の映画館で映画を見たり、買い物に行ったり、ボードゲームをしたりと、入居している他の漫画家と一緒に行動することが多いです。住居棟の自室で過ごすよりも、雰囲気のあるアーティストビレッジ内で過ごすほうが好きです。無料で提供されているコーヒーや紅茶にも愛着が湧いてきました(笑)。

Question 5

今後の目標は
ありますか?

何よりもまず、漫画づくりのすべてを学びたいと思っています。少しでも多くのことを学び、制作できるようになることが私の目標です。描き手としての漫画のおもしろさは、比較的少人数かつ短時間で制作できること、独特で個性的なストーリーを描けることだと思います。

ほかには、熊本のいろいろな場所を見たり、ここでしかできない体験をしたりと、できるだけ時間を有効に使いたいと思っています。

Question 6

入居を
考えている人に
メッセージを
お願いします。

アーティストビレッジのような場所は、きわめて希少だと思います。新しい国に移り住み、言葉の壁にぶつかるのは大変ですが、しばらくここに滞在してさまざまなプロジェクトに参加し、日本の生活や文化を肌で感じることは、あなたにとって価値のある体験だと思います。

ほかには、現金や通帳の使い方など、それぞれの出身国とはルールが異なるものもあります。けれども、くわしい人がすぐ近くにいるので、私もそうですが、比較的スムーズに適応できると思います。

「第7回 コアミックス九州国際まんが賞」優秀賞を受賞した、
Enewaldさんの作品『魂のカケラ』はこちら

『魂のカケラ』

試し読みhttps://smacmag.net/v/kyushu_international_manga_award_7th/fragments_of_the_soul_by_enewald/#0

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